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原型から洗練へと磨きあげた棹菓子「あも」(叶 匠壽庵/滋賀県・大津) 秋冬の和菓子十選 その4

上原 久美子

2014/01/21

和菓子について

商品名:あも
ブランド:叶 匠壽庵(創業:1951年(昭和33年)/滋賀県大津市)
ふっくらと炊き上げられたつぶ餡と、中からとろけ出る求肥のコントラストが絶妙な極上の棹菓子。

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和菓子の原型を、徹底したこだわりで洗練された棹菓子へ

ホームページの説明によると「丹精込めて炊き上げた小豆と、やわらかな求肥を合わせた極上の棹菓子」とあります。この “棹菓子” という形が「あも」の大きな特徴です。

餅の一種である求肥と餡のシンプルな組み合わせは団子やおはぎをはじめとした和菓子の原型とも言えますが、叶 匠壽庵はこれを棹菓子にしたことで気の利いたお持たせへと進化させました。お持たせにふさわしく極上の原料を厳選し、餡は少量ずつの “手炊き” 、求肥は “赤ちゃんの肌のようなきめ細やかさ” に仕上げるといった徹底したこだわりがシンプルな素材を洗練されたお菓子へと磨き上げています。その繊細でふくよかな味わいのバランスは、餡好きにはもちろん、「あんこが苦手」という方にこそ是非お試しいただきたい一品。食べたい分だけ、食べられる分だけ切り分けられるところも棹菓子ならではです。

ちなみに「あも」という商品名には、現在も京で使われている “餅” と、奈良時代まで使われていた上代語による “母” のふたつの意味が込められているようです。生まれたての赤ん坊が初めて口にする言葉のような、おいしいものをほおばった時の感嘆のような響きで、口ずさむ度食べたくなる絶妙なネーミングになっています。

 

切る楽しみも、棹菓子の魅力

棹菓子の代表である羊羹や外郎(ういろう)と異なり、ふっくらと炊かれたつぶ餡と、とろりとした求肥からなる「あも」はそのままでは切る時にくずれやすいのが難。そのため叶 匠壽庵ではいただく1時間ほど前から冷やしておくことを勧めています。つやつやとした深い小豆色の中から現れる求肥の白の美しさも、このお菓子の魅力のひとつ。いただく前に切る手間をかけさせるからこそ、切る楽しみが用意されているのが棹菓子なのです。

(参考・出典:叶 匠壽庵 オフィシャルサイト

 

いつつ目の和菓子

次回は「ぼた餅」(仙太郎/京都)をご紹介します。

  • (東京本社 プランナー/アートディレクター)